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第一章~蒼き魔獣と白き少女~
「あたし、もう、生きていけない……死にたい。死にたいよぉ……」
純白の少女が泣いている。けれども、その涙は流れているのか分からないし、見ることも出来ない。
だけど、彼女は泣いていた。
その透き通る程の綺麗な白い肌にくり抜かれた蒼空の眼差しは、ただ、空虚を写すばかりで……滴り落ちる涙も無いけれど……
確かに、彼女は泣いている。
確かに、彼女は苦しんでいた。
僕はただ、それを見て、どうすることも出来ない。涙を拭い取ってやることも……抱いてやることも……触れることすら出来ない。
励ましてやることすら、出来なかった。
ただ、その光景を眺めているだけの自分……
何も出来ない自分。
歯がゆい。何も出来ない。何も力になってやれないなんて……
だって、本当のキミはこの画面の向こう側だから……
リコ……
本当の名前も知らない、声も知らない、姿も、もしかしたら、性別すらも……何も分からない。
相手。
リコ。
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