プロローグ1~ただ、ひたすらに憂鬱~

1/9
前へ
/192ページ
次へ

プロローグ1~ただ、ひたすらに憂鬱~

      日の暮れたいつもの並木道。   通い慣れた道。   全てが赤に染まり、大地に黒が伸びる夕焼け空の並木道。   この風景を眺めて、もう三年か……   最後の部活を終えて、もうすぐ最後の夏休みが来る。夏休みになれば、就職活動とやらが来て、夏が終わり秋が来れば、進学とやらが始まるのだろう。遊んでいる暇は無いし、遊ぶ気も毛頭無い。   そろそろ自分の進路について、いろいろと準備を始めなければいけなかった。   それは、生きていれば、誰でも体験する、極々自然な流れであった。そう、そこには悩みもあれば、苦しいこともある。だけど、別にそれは、ドラマチックでもなければ、特別なことなど、微塵もない。極当たり前の、自然な、普通の出来事だ。    そうやって人は、普通という流れの中に飲み込まれ、大人になって死んでいく。そして、その子供がそれを繰り返す。何も変わらない。何も起こらない。平凡たる世界。   つまらない。   ああ、なんて、つまらない。   なんて糞みたいな世の中だ。
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

108人が本棚に入れています
本棚に追加