108人が本棚に入れています
本棚に追加
まさに美しい、という言葉が彼女には相応しい。だが、彼女の体格は小柄で、幼い印象もあり、白く美しい中に可愛らしさも兼ね備えていた。
「やあ、こんなところに客人とは珍しいこともあるようだね。」
それは透き通った綺麗なソプラノ。その口調は妙に少年っぽく可愛らしかった。
「どうやって、キミはここに来たのだい?」
彼女はゆっくりとこちらに近付きながら僕に問う。
その問いに僕は焦る。どうって聞かれても気付いたらここに居たわけで、明確な答えなど持ち合わせていなかったのだ。
「それは……」
なんだろうか?次に続く言葉が見当たらない。
だが、彼女はそんな戸惑う僕を見ても、何も気にする様子もなく、ただ、こちらへと歩いてくる。
そして、何か悟ったのか彼女は「そうか」と納得したように微笑んだ。
ただ、その「何か」は一体、僕には何の事なのか、よく分からなかったが……
「ここは特別な処だからね……」
彼女はそう告げた。そして、歩きながら両手を大きく横に広げ、続けてこう言った。
「ようこそ、世界の根底へ。ボクの名はアイーシャ。この世界を見届ける存在だ。」
最初のコメントを投稿しよう!