プロローグ1~ただ、ひたすらに憂鬱~

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あるわけが無い。現実の女の子は、ゲームと違って、そう都合のいいように出来てはいないのだ。あのゲームのヒロイン達は所詮、妄想に過ぎん。   神無月 春花は存在しない。妄想だ。   それが現実だから。   僕に彼女がいないのも、現実だから。   この世界に、都合の良い事など、存在しない。   努力をした人でさえ、掴めるかどうか、わからない。   世界はそう出来ている。出来ているのだから、仕方のないことだった。   「ああ、ヘビィだぜ……」   素晴らしい具合に憂鬱。もう、何もかもが虚構のようで、どうでもいい気がしてきた。     なんか考えるのが面倒だ。   「はあ……」   溜息が止まらない。   「大丈夫?溜息ばっか吐いて、どうしたのよ?」   それは、女の子の声。凄く聞き慣れた声だった。
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