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僕の唯一、気軽に話せる女子、川嶋 さゆり。その子は栗色のショートカットの髪を揺らしながら、その大きな瞳で僕の顔を覗いてくる。それはもう、彼女の息が、僕の鼻にかかるくらいに……頬に血が上るのを感じた。僕は気付かれぬよう、そっぽを向いて、突き放す。
「くっつくなよ。」
と、すると彼女は、その淡いピンク色の唇を尖らせては、拗ねたような顔で僕を睨んできた。
「何よ。せっかく人が心配してあげてるのに……」
そうだ。さゆりは、いつだって優しい。僕が困っていると、いつだって助けてくれる。
いつだって本気になって心配してくれた。それはずっと、昔から、幼稚園のころから、今までずっとだ。僕とさゆりは本当に仲の良い幼馴染だった。そして、僕はそんな彼女が好きだ。なのに……今はそんな彼女に冷たい反応しか出来なかった。
僕は最低だ。
ありがとうの言葉すら言えない。今はお前の存在が、とてつもなく辛かった……
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