プロローグ1~ただ、ひたすらに憂鬱~

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ああ、彼女の笑い声が聞こえる。   笑っている彼女の笑顔。    本当に幸せそうだ……   僕には眩し過ぎるくらいだ……   眩しすぎて辛いぐらい。    拓哉か……   ホントお前はスゲーよ。凄すぎるよ。   彼女をこんなに笑わせることが出来るなんて……    彼女をこんなに幸せにしてやることが出来るなんて……   僕は一度だって彼女をこんな風に笑わせることができただろうか?   こんなに幸せそうな笑顔にしてやれただろうか?    ないな。僕はいつも彼女を心配させてばっかりだったから……   ああ、憂鬱。それに嫉妬。   本当に嫌だ。幸せそうな彼女を見て嫉妬している自分だなんて……   本当はここで「良かったね」の一言でもかけてやるべきなんだろう。そして、彼女の幸せを祝福してやるべきなんだろう。だけど、僕の口からは何の言葉も出てこなかった。   ただ、彼女の問いかけに対し「ああ」とか「うう」とか曖昧に頷くだけの首振り人形かのようだった。   情けない。こんな自分は最悪だ。
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