秘密

6/7
前へ
/158ページ
次へ
 そして家に帰ってきた貴也はというと……。  家に帰った貴也が一番最初に目に入ったのは、弁慶の仁王立ちのごとく玄関に立ち、貴也を家に入れないとする紗枝であった。 「何だ姉貴か、そこにいたら邪魔で家に入れないだろう」  そういい貴也は紗枝を無視して家に入ろうとすると、紗枝は驚いた顔で貴也を見ていた。 「ちょっとあんた、また口調が変わってるわよ!! また喧嘩でもしたの? 姉ちゃんはあんたをそんな子に育てた覚えは無いわよ――、ぐすん」  紗枝が嘘泣きしながら貴也に訴えるが、貴也はわざとらしい嘘泣きを白い目で見ていた。 「姉貴、嘘泣きは止してくれ。しかも俺はあんたに育てられた覚えはないから」  そういい貴也がリビングに向かおうとする。 「お姉ちゃんの心を踏みにじった子にはお仕置きよ!!」  嘘泣きを止め、紗枝は勢いよく貴也の背中にドロップキックを決める。  そして貴也は吹き飛ばされて、リビングにそのまま突っ込んでいった。 「誰かこの姉貴と兄弟の縁を切らせてくれ……」  すると紗枝は貴也の背中を踏む。 「無理ね。あなたは私から一緒逃れられない運命だから」  そして紗枝は勝ち誇ったのように高笑いする。  流石に今の貴也でも紗枝には勝てないようだ。
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!

603人が本棚に入れています
本棚に追加