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そして家に帰ってきた貴也はというと……。
家に帰った貴也が一番最初に目に入ったのは、弁慶の仁王立ちのごとく玄関に立ち、貴也を家に入れないとする紗枝であった。
「何だ姉貴か、そこにいたら邪魔で家に入れないだろう」
そういい貴也は紗枝を無視して家に入ろうとすると、紗枝は驚いた顔で貴也を見ていた。
「ちょっとあんた、また口調が変わってるわよ!! また喧嘩でもしたの? 姉ちゃんはあんたをそんな子に育てた覚えは無いわよ――、ぐすん」
紗枝が嘘泣きしながら貴也に訴えるが、貴也はわざとらしい嘘泣きを白い目で見ていた。
「姉貴、嘘泣きは止してくれ。しかも俺はあんたに育てられた覚えはないから」
そういい貴也がリビングに向かおうとする。
「お姉ちゃんの心を踏みにじった子にはお仕置きよ!!」
嘘泣きを止め、紗枝は勢いよく貴也の背中にドロップキックを決める。
そして貴也は吹き飛ばされて、リビングにそのまま突っ込んでいった。
「誰かこの姉貴と兄弟の縁を切らせてくれ……」
すると紗枝は貴也の背中を踏む。
「無理ね。あなたは私から一緒逃れられない運命だから」
そして紗枝は勝ち誇ったのように高笑いする。
流石に今の貴也でも紗枝には勝てないようだ。
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