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「俺が知らないと思っているのか貴? お前が同じクラスの――」
すると貴也は慌てて翔の口を塞ぐ。
「翔ちゃんそれ以上言わないで!!」
その後必死に貴也が説得をするが、翔は口を塞いでいた貴也の手を無理矢理離す。
「お前が同じクラスの阿部――」
何を言おうとする翔を、誰かが突然後ろから自転車でひいた。
「し、翔ちゃん大丈夫!!」
心配そうに貴也が翔を見ていると、翔をひいた女性は自転車を近くに止め、翔の胸倉を両手で掴んだ。
「翔!! あんたまた貴也を困らしたでしょ!!」
そういいながら翔を前後に何回も揺らす。
「やめて渚!! それ以上したら翔ちゃん死んじゃうよ!!」
貴也はあわてふためきながら渚という女性に言う。
「まぁいいわ。貴也がそこまで言うんならこれで許してあげるわ」
そして渚は翔の胸倉を離し、自転車に乗り学校に向かっていった。
今さっきの女性は河井渚(かわいなぎさ)、小学生のころいじめられっ子の僕を翔ちゃんと一緒に守ってくれた家の近くに住む幼なじみ。
だけど何故か翔ちゃんとは仲が悪いみたい。
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