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妻のお腹が、長男、次男の時よりも大きくならない。
女の子だから?
そんな風に思っていた。
母や姉も、心配しながらも、きっと女の子だからと笑っていた。
姉の家は男の子一人。我が家は二人。初めての女の子。
俺は、この娘が女子高生になるまで、何とか若作りに励んで、腕を組んで渋谷辺りをショッピング。そんな夢を抱いていた。
山田に対する苛立ちも、娘との楽しい未来を考えると、多少紛らわす事が出来た。
そうそう、山田との事は、母も姉も未だに知らないでいる。
子供達も、
『早く産まれて来ないかなぁ。俺の妹。』
『何言ってんだよ!俺の妹だろ!』
『俺のだよ!』
と、まだ産まれていないのに喧嘩になる始末。
でも、この息子達が、俺の気持ちを和ませてくれる。
『お前らなぁ、赤ちゃんが産まれて来てまで、そんな調子でいると、二人とも嫌われるかんな。』
『ハーイ。』
『ハーイ。』
多分、俺の選択は間違っていなかった。
俺さえ我慢すれば、みんなが笑顔でいられる。
そう思っていた…
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