516人が本棚に入れています
本棚に追加
『お前、話しが違うじゃねーか。』
『だって、1500あるって事は、人間の形…もう赤ちゃんだって事なんだよ?それを思ったら産みたくなったんだもん。』
『気持ちは解るけどなぁ…』
確かに妻の胎内で、小さな我が娘は生きている。
『お前、仮に俺がまるっきり面倒を見ないと言ったら?それでも産むか?』
『…』
『そんな生半可な気持ちで、娘と向き合えるのかよ?』
『生半可じゃない。産む。』
『そうか。』
江川先生が戻って来た。
『お話はまとまりましたか?』
『はい。』
『では、私からも。現在、赤ちゃんは1500あります。これだけの大きさがあれば、産まれてみたらどこも問題無かった。なんてケースも多数あります。私としては、この大きさに賭けてみたいという思いがあります。』
妻が口を開く。
『じゃあ、無事に産まれる可能性の方が大きいと?』
『いえ、そーゆーケースもあるって話しで、後は産まれてみないと解りません。』
ヤレヤレ…医者ってゆーのは期待ばかり持たせる…
『旦那さん、どーですか?後は我々に全て任せて頂けませんか?』
『…』
『全て任せて下さい。』
『そんなに言うなら、ウチのも産みたがってますし…。任せて大丈夫なんですね?』
『ええ、任せて下さい。』
『解りました。』
俺もついに折れた。
やっぱり、娘に会いたいって気持ちが強く残っていたのだろう。
『話は決まりですネ。良かったですね、奥さん。じゃあ、奥さんには、今すぐ入院してもらいまして、赤ちゃんに万が一の事がないように、毎日対処して行きます。』
『今すぐですか?』
『はい。』
そして、妻は入院した。
最初のコメントを投稿しよう!