ぬいぐるみ

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  僕はぬいぐるみ。 主はずっと僕を大切にしてくれている。 僕がいないと眠れないらしい。 例え汚くなっても、 ボロボロになっても、 何度も繕っては、毎日一緒にいてくれる。 僕を必要としている。 僕は嬉しくてしょうがない。   さぁ、今日も主と遊ぶ時間だ。 主はまず僕を床に叩きつけた。 踏む。踏む。踏む。踏む。踏む。踏む。踏む。踏む。踏む。踏む。 僕の右腕がもげた。   主は気が済むと、僕の修繕に取りかかる。 ここ数年で、主の裁縫の腕はメキメキ上がっているようだ。 あっという間に、僕の右腕はすっかり綺麗に元通りだ。   僕はこんなに主に愛され、大切にされて、なんて幸福者なんだろう。     終。  
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