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私の名はザルシュ。鷹だ。
そして私のご主人は空。
鷹芝家という、伝統ある鷹使いの一族の後継ぎである。
私とご主人が出会ったのは5年前。
ご主人は12歳で、私は卵から孵化したばかりの雛だった。
刷りこみ、というやつをやるつもりだったらしい。
実際、私は大空を飛べるようになるまでご主人を親だと思っていた。
……しかし、あるときご主人は私に言った。
「言っとくが俺はお前の親なんかじゃないぞ。確かにお前を育てたが、生みの親は別にいる」
だから、期待はしない。お前は俺の子供じゃないからな。と、私の目を見ながら言った。
そのときとは、私とご主人の初仕事だった。
思えば、ご主人は緊張していたのかもしれない。
私は必死になって仕事をこなした。
1キロ先の鼠も獲ったし、ご主人の口笛でぐるりと蒼空を旋回したりもした。
ご主人が私の親であろうとなかろうと、私には関係ない。
だって、餌がいつでもたくさん貰えるのだから。
「うっしゃあ!ザルシュ!今日もよろしくな!!」
はい、ご主人。
今日も餌をどうかよろしく。
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