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猛威を振るう木々や木の葉の攻撃を物ともせずルヴェンは走る。
「いる! この先に!」
魔石の所在を確認した彼は、レッツォやエルミナ達に被害が及ぶ前にケリを付けようと一気に突き進んでいた。
その速度は人間では考えられない程早く、背中に現れた翼を上手に使って木の根や障害物をヒラリとかわす。
すると、辺りの暗い森が開け、広場の様な場所に辿り着いた。
「これは……」
ルヴェンは思わず声にしたが、
「まぁ、石に魅入られればこんなものだろう」
と、黒竜は冷静に判断した。
目の前には、広場の中心に巨木が立っていた。
おそらく樹齢は300年は軽く超えているだろう、その樹木の中心に不気味な色を放つ光と、大きな人間の顔がルヴェンを見下ろしてる。
「ドラゴン、コロス! 人間、コロス!」
森の木々全体が共鳴する低い声だ。
ソレは根や、枝を一斉に彼に向けて打ち出した。
ルヴェンは軽くジャンプしてその攻撃をかわそうとしたが、足元から絡みつく根が体を捕らえ、その場を動けない。
「しまっ……!」
彼の顔が歪む。
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