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「うわっ! これは!?」
迫り来る木々の枝や植物の蔦はまるで蛇の様にうねり、ルヴェンの体を締め付ける。
「馬鹿者、何をしておる! お前は爪の使い方も判らんのか!?」
「爪!?」
黒竜の言葉に彼はまだ自由に動かすことの出来る右手に力を溜める。
するとルヴェンの闘気と黒竜の闘気が入り混じり、その右手の周りに漆黒の竜の掌が現れる。
「そうか! これか!」
彼は焦りの表情を消し、絡みつく植物を切り裂いた。
その強さはソレ達を切断するだけには留まらず、丁度腕を振り切った先の地面に深く、長い四本爪の傷痕を付ける。
地面が激しく揺れ、切断された植物がルヴェンの攻撃の勢いで竜巻のように舞い上がった。
「うおおおおおおお!」
雄叫びとも取れる声を上げたルヴェンは、一気に光を放つ樹木の顔の中心へと飛び立つ。
視界を一時的に奪われた魔石の主は、その巨大な顔面を歪ませ叫ぶ。
「ドコダ!? ドコダァ!!」
母体である樹木の枝達が一気に舞い上がった竜巻に襲い掛かった。
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