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次の瞬間だ、彼は魔石の目の前から姿を消した。
いや、その漆黒の翼を力強く羽ばたかせ一気に上空へと舞い上がったのだ。
その行為に気付かない魔石は無防備状態に陥り慌てふためく。
魔石が何かを叫んでいる上空でルヴェンは、空宙で体を反転させ、空気を踏み台にするかの様に一気に地面へと向けて急降下。
その落下物に気付いた魔石の反応は遅すぎた。
彼は右手の爪を樹木に付きたて、落下の勢いと腕の力を合わせて、縦に樹木を真っ二つに割る。
着地に成功したルヴェンの足元がクレーター状に沈み、もの凄い爆発音と言うべく衝撃音が大地を狂わせる。
「ギギャアアアアァアア!!」
その断末魔の叫びは身の毛もよだつ。
落下の勢いで巻き上げられた砂塵の中に、ゆっくりと立ち上がるルヴェンの姿。
彼は轟音を木霊しながら倒れていく巨木の中心へと向けてゆっくりと歩き出す。
その中心部には、地面に横たわる成人ぐらいの大きさのミイラ。
そのミイラの左胸には青や赤い色を、心臓の鼓動に合わせて不気味に光る魔石があった。
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