第一楽章 第四十九小節

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先程の攻撃で右手が痺れているのだろうか、彼は左手に力を溜めてその魔石を掴む。 「中々手際が良いではないか、褒めてやるぞ、ルヴェン」 その言葉に彼はニコリと満面の笑みだ。 「やっと名前を呼んでくれたね、ありがとう。さぁ、これで楽になれるよね? このミイラの人は」 「確かに、魔石は人間の心を魅入るからのぉ。さっさと終わらせんか、ワシが力を貸せるのはもう少しの時間だけだぞ」 その言葉にルヴェンは軽く頷くと、一気に左手に力を込める。 数々の人と家族の命を奪った彼の左手は今、彼自身の正義の為に使われようとしていた。 それは償いなのだろうか、それは彼自身しか判らない事だ。 ルヴェンは瞳を閉じ更に力を増す。 「お休みなさい、安らかに眠ってください!」 最後の一声で魔石はガラス玉の様に弾け、辺り一面に眩い光の粒が舞う。 すると彼の左手にまたもやグローブが現れ、黒竜の意識が消えていった。 「ルヴェーン!」 背後から聞こえるのはエルミナの声、心配で追いかけてくれたのだろうか。 ルヴェンは振り向くと笑顔を見せ彼女に手を振るう。
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