第一楽章 第四十九小節

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その光の粒達は渦を巻き、彼の十字架に吸い込まれると、一斉に空へと向かって舞い上がった。 徐々に遺体だらけの廃村の風景は、『そこには昔村があった』程度の風景へと姿を変える。 今ではもう無残な遺体は何所にも見えない。 そんな風景と音楽の中、レッツォの姿が変化していた。 髪は白銀、背中には純白の大きな鳥の翼の様な物が左右6対12枚、柔らかに羽ばたいている。 彼は歌を歌い終えると、光の粒達や楽器達は姿を消し、胸の十字架がほのかに光を放つだけだった。 姿も元のレッツォに戻っている。 彼は十字架を潤んだ瞳で見つめ、何か言葉を発している。 背後に人の気配を感じると、そこには戦いを終わらせて少し疲れ気味のルヴェンと、彼の体を支えるエルミナの姿が現れた。 「レッツォさん、さっきの音楽なんですか?」 エルミナは首をかしげて彼に問う。 レッツォは微笑み、 「少し子守唄を唄っただけだよ。お疲れ様、ルヴェン君」 何も変化の無い彼の後ろで、純白の羽根が一枚舞い落ちるのをルヴェンとエルミナは気付かなかった。
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