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「始めまして、バルバルさん。ボクはルヴェンでその子がエルミナって言うんだ」
ルヴェンは彼に頭を下げて軽い自己紹介を済ませると、
「ほー、可愛い彼女だなルヴェン! 今日はデートか? おい」
意地悪そうな笑みと共にバルバルが発した言葉に、即座に反応するエルミナ。
「ちょっ、何勘違いしてるのよおっさん! ルヴェンはただの……あれ、なんだっけ?」
鬼のような見幕だったが、いざルヴェンとの関係を自問自答してみると言葉が詰まった。
「従兄妹。でしょ? エル」
軽い溜め息と冷ややかな目を向けたルヴェンの言葉が飛ぶ。
その言葉にあたふたとする彼女だったが、バルバルの大きな笑い声が巻き起こると、ルヴェン達も釣られて笑ってしまった。
「まぁ、そういう事にしておいてやるよ! お二人さん。今日は夕方にも芸を披露すっからまた来てくれよ!」
彼は笑顔を振り巻いている。
「わかったよバルバルさん。初めから見ることにするよ」
と、ルヴェンの返事。
するとバルバルはルヴェンの肩に腕をまわしてきた。
「『さん』はいらね、バルバルって呼んでくれ」
「ありがとう。バルバル」
ルヴェンも満面の笑みだ。
すると、少し離れた所から声が届いてきた。
「おーい! ルヴェン君ー。エルちゃーん!!」
その声に二人の顔は青ざめ、声を揃え叫んだ。
「忘れてたーー!!」
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