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冷たい水が喉をとおっていって少しだけ落ちついた。
「…サンキュ」
「大丈夫か?」
肩にポンっ、と手を置かれて、さっきの映像が目の前でフラッシュバックしはじめ
た。
「…ぅ、あ、ぁぁあああぁぁあ!!」
「おい!上原!?」
「俺が殺したんだ俺が殺したんだ俺が!!」
「落ちつけよ!!」
バンッと頬を平手で殴られた。
熱い…涙が出てきて止まらなかった。
「ごめん…っ、大丈夫か?」
「…突き飛ばしたんだ…急に走って寄ってきて…怖くて、突き飛ばしたんだ…。木
に、頭がぶつかって…動かなくて…こっちをずっと見てたんだ…っ!!」
「上原…大丈夫だ。大丈夫。夢だ。すぐに覚める。大丈夫だ」
そんな事、きっと桜庭だって信じていないに違いなかった。
それでも、慰めようと、不器用に肩を抱いてくれて。
「桜庭…、俺…俺…!」
「いいから。ここから少し離れようぜ」
引っ張られて少しよろめきながらも、どうにか立ちあがる。
「…ん…サンキュ…」
「どういたしまして。…行こうぜ」
そう言って、俺を気遣ってか、ゆっくりと足を踏み出した。
1歩。 2歩。 3歩。
4歩。
─…5歩。
........................!
5歩目を踏み出した瞬間に、近くの茂みに突き飛ばされた。
頭から思いっきり突っ込む。
仰向けに転がった瞬間に、桜庭が崩れ落ちた。
「──桜庭!!」
すぐに、自分をかばったのだと分かった。
必死に取りすがる。
もう目の前のものなど一切目に入っていなかった。
たった一人、絶対に信じられる奴を見つけたのに…っ!!
..........................!
もう一度低い音がして。
最後に見たのはマシンガンを構え、引きつった笑顔で見つめている設楽だった…。
BLACK OUT.....
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