白昼夢

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Point of view by T.Mizuno         「…やぁーーっっと!見付けたわー」   「…シゲ」  草をかき分けてゆっくり近づいてくるシゲを見て、緊張に乾いていた口から安堵の 息を漏らす。     「─たつ、ぼん…?そんケガ…!!」 「撃たれた。…もう、立てない」    もう、サッカーは出来ない。  もうシゲと一緒にフィールドを走る事は出来ない…。      それでも、この状況でシゲに会えたのは、全く奇跡と言って良かった。       「…俺を、殺しにきたんだろ?」       「…何言うとんの、たつぼん?」   「でなきゃ、あんな明るい声で来るわけないじゃないか。いつもなら何も言わずに抱 きついてくるだろ」  白状しろ、と睨みつけると、泳いでいた視線を下に落として、降参、と肩をすくめ 手を上げた。   「…良く分かっとるわ~。さっすがたつぼん。お見通しやな~」 「バカ言え。…こっち来いよ。もう、前が暗い。寒い…」  言って、隣の地面を力なくはたく。  正直、喋るのも辛かった。  意地をはっていないと、体を凭せ掛けている事すら出来ない。    スタスタと、それでも急ぎ足で隣に膝をつき、痛々しそうに抱きしめられる。 「ごめんな、たつぼんもちょっと早く見つけてやりたかったわ…」 「ん…。ま、生きてるしな。これでも…」    そっと腕をまわす。  小さくキスをしたら、涙がこぼれた。  これでもう、サッカーは出来ない。  死んでしまうのだ。そう思うとやるせなかった。
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