夢の後先

3/9
前へ
/49ページ
次へ
   変な場所へ連れていかれたのも、仲間が次々といなくなっていったのも。      人を殺したのも…、殺されたのも。            桜庭が死んだのも。設楽に殺されたのも。         「…夢、だったのか…」 「思い出したか?俺達監督に架空想像ゲームやらされてたんだよ」 「あぁ…そっか…」      そうだ、眠らされる前に変なコードつけられて。  東京選抜+aでデータを取るから…って、みんなこの部屋に集められたんだっけ。   「…イヤなゲームだな…すごくリアルだった…」 「お前さ。誰に殺されたか覚えてるか?」 「…設楽?」 「じゃあ誰殺したか」 「…えっと、東海の…あれ?東海だったっけ?」 「顔思い出せるか?」 「…無理」    まるで砂が手の平から零れ落ちていくかのように、緩やかに…しかし、確実に記憶 が薄れていく。  先程まで鮮明に思い浮かべる事が出来たはずの顔と名前。  それが数秒後の今、全く思い出せなくなっていた。   「…でも、恐いよ。もう…こんなのイヤだ」 「俺も、もう1度お前を庇うのなんてごめんだしな!」 「あ、言ったな?」          顔を見合わせてクスリと笑う。      戻ってきた、平和で幸せな日常の中で。  
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加