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ゆっくりと意識が浮上していく。
生きている。俺は生きている。
どこも痛い所なんてなくて、だるささえのぞけば体は健康そのもので。
「…シゲ…」
ゆっくりと起き上がり頭や体にからまっているコードをひきはがしていく。
どこかで彼も起き上がっているはずなのだ。
早くあって抱きしめたい。
どうして、こんなにも不安なんだろう。
只怖い夢を見ていただけの話なのに。
もう、どんな夢を見たのかも思い出せないけど、もう二度とサッカーができないよ
うな気がして。
早く、早く。
彼に会って抱きつきたいのに、コードがそれを邪魔する。
どんどん不安がふくれあがって。
どうしてこんなに急いでいるのかも分からないまま、感情にせかされて絡まった
コードを必死にひきぬいた。
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