白昼夢

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Point of view by S.Fujishiro            ずっと人を待ってた。  夏になったら行きたいってずっと騒いでいた、この浜辺で。    あの人を…キャプテンを、ずっと待っていた。       「…藤代」 「真田。よっ。元気?」 「…何やってんだよ?」 「真田武器持ってる?」    沈黙。   「…お前は?」 「持ってる。スタンガン。ほら」    ひょいっとポケットから出して、すぐ横に放り出した。  ごろんっと仰向けに転がる。   「ねぇ、キャプテン見なかった?」 「…渋沢…多分、見た。すぐそこ」 「マジで?!どっち?!」 「すぐ来るんじゃないかな」   「ねぇ、武器何?」    ぐいっと首を捻って見上げた。  逆光が眩しい。   「…銃。使う気無いけど」 「そう」    ためらうように、少し離れた所に座り込んだ。   「な、結人か英士見た?」 「ゴメン、見てない。誰もここには来ないから」   「まだ…生きてる」    ぐ、と拳を握り込む。  ひょいっとスタンガンを拾いながら、起きあがって笑った。 「会えると良いな」 「…そうだな」     「藤代!」   「あvvキャプテーン!!」  ガバッと立ちあがって抱きつく。  ぎゅうっと抱き返してくれる腕が気持ち良かった。  ふ、と気付いて体を離す。   「ごめんな。キャプテン来たから、一緒に捜してやれないや」 「…真田?若菜達を探しているのか?」 「そ。キャプテン知らないっスか?」 「若菜だったらさっき会ったぞ。すごく急いでたな。ここからだと…こっちか。2時 の方角にまっすぐだ」     「…ありがとう!!」 「気をつけろよ!」    砂に足を取られながらも、懸命に走っていく姿に声をかける。  
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