白昼夢

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 姿が見えなくなるまで見送って、ぐりんっと向き直り両手をつないだ。   「キャプテン。誰か殺しました?」 「いや。俺への支給品はクマのぬいぐるみだったからな」    苦笑して大きなザックを叩く。 「俺もキャプテンが悲しむと思ってずっと逃げ回ってました!」 「ここに来れば会えるとおもっていたんだ。前に話してたろう?海に来たいと」 「俺もっス!!ここなら絶対に会いに来てくれると思ってました!!」  嬉しくてぎゅうっと強く抱きついた。     「…先輩。これからどうします?」 「そうだな…。人を殺してまで生き残りたいわけでもないしな。おまえが殺してくれ るのか?」 「じゃ、キャプテン俺を殺してくださいね!」 「はは、無茶を言う奴だな」    そう言いながらも、俺を抱く手が震えているのに気がついた。  ニコ、と笑顔で明るく切り出してみる。  あんまり、怖がらせないように。   「ね、キャプテン。俺爆弾作っちゃいました」 「…藤代?」       「一緒に…逝きませんか?」        強く抱いて、言った。どうか、声が震えていませんように。   「…藤代と一緒なら、悪くないな」      えへ、と笑う。  嬉しかった。     「キャプテン…大好きです」 「俺も…愛してる」    普段なら絶対に言ってくれない言葉。  この感覚が去ってしまう前に、拾っておいたスタンガンを、爆薬に近づける。      そっとキスをして抱き合い…スイッチを入れた。         最後まで、キャプテンの強い腕だけを感じていた。                               BLACK OUT.....
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