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少し驚いたように目をみはり、笑顔を浮かべて…倒れ込んだ。
「英士っ!英士っっ!!」
「撃たれたのか!?」
「須釜に…ちょっと、油断、してたね…。ケガ、ない?一馬…」
荒い息の中、それでも自分を心配する英士に涙が溢れて止まらなかった。
「ない!元気!えーしこそ…っ!!」
「うん…ごめん、ね、一馬。俺、もう、だめだ…」
「バカ言うなよ!平気だよ!大丈夫だよっ!!」
「無理、だよ…一馬…分かるんだ…もう…」
「バカ!そんなこと言うなよ!!バカ英士!!」
「一馬…」
結人がそっと英士を抱き起こして、腹を見て…泣きそうな顔でこっちを見て。
ゆっくりと、小さく首を振った。
「やだっ…やだっ!!!そんなの認めない!!一緒に、生きてっ…!!」
「一馬…苦しい、んだ…最後の、お願い、だから…楽に…してくれ、ない、かな…」
「…っな、なに言ってんだよ!やだよ…っ、無理だよっ!!俺がえーしを殺せるわけ
ないだろ!!」
「頼むよ…、痛いんだ…苦し、くて…頼む…っぐ!」
ゲホッと咳き込んで、口から血の塊があふれてきた。
結人が口を引き結んで、そっとぬぐう。
そして、俺のザックから銃を引きずり出した。
両手で包み込むように、俺の手に持たせる。
「一馬…俺じゃ、だめなんだ。一馬じゃなきゃ、意味ないんだ。俺からも…頼む…っ
!!」
必死に首を振って手を放そうと足掻く。
英士が手を伸ばして、銃に添えた。
暖かい、紅い液体にまみれた、それでもキレイな手が俺の手と、手の中の銃を包み
込む。
「そんな…っえーし!えーし!!」
「もう、一馬に、パスを、出せないんだ…」
「やだよ…!!ばか!ばかぁっ!!」
「お願い…笑って、一馬…」
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