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「なんでもないよ」 とユキは云った。 「云いにくいことあるん?」 肩を落とすユキに向かって、なにかあったら相談してとマリは云った。 やっぱりわかってる。 「あう、ユキちんどこ行くん!!」 ユキは走って図書館を出た。 いつもはなんでも話せるのに、マリは自慢の友達のはずなのに。 でも、でも― これだけは云えない。 一番にならなくちゃ。 ユキはどんどん自分の居場所がなくなっていくのを感じた。 ホントはペンダントなんか欲しくなかった。ただ認めてもらいたかったのだ。 お母さんに誉めてもらえるんだったらなんだっていい。 私がんばってる、お母さんのためにがんばってるよ。 走って。 走って。 ユキは走った。 胸が苦しい。 一番にならなきゃ。 でも、どこまで走ればいいんだろう?
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