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「王様がカナリヤを飼ってたんや」
と兄ぃは云った。
「ほうほうほんで」
「カナリヤがどうしたんでっか」
「王様は大層お気に入りでな」
「カナリヤがか?」
「そうやカナリヤや」
ユキの話を聞くといいながら、いつの間にか兄の話になっている。
なんでそうなってしまうのかわからないが、いつものことなのでユキは兄ぃの話に耳を傾けていた。
「なんやそのカナリヤの歌聞くとだな、あまりの声の美しさに頭がしゅわしゅわわしてくんのや」
「ほんまか」
「ほんまや」
「しゅわしゅわわ?」
ユキが尋ねた。
「それってどこかであったような…」
おでこに人差し指をあて考えこむ。
キレイな歌声一
みんなが喜ぶ一
しゅわしゅわわ一
「どうしたんや、ユキちん?」
「ううんなんでもない。話を続けて」
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