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『王様がカナリヤを飼ってたんや』 ふとユキは狸の兄ぃの話を思い出した。 確か、最近では数年前に王さまお気に入りのカナリヤのコンサートが開かれたのが最後じゃなかったっけ。 ユキはフクロウを見つめる。 でもこんな老いたフクロウなら、相当昔にちがいない。 フクロウはコココと首を揺すっていた。 「しかし、どうしたもんかのぉ」 「お願いします!今すぐ私に歌を教えて」 ユキは両手をパンと合わせ頼みこんだ。 フクロウはしばらく羽を組んで思案に暮れると、 「まあええじゃろ」 と云った。 「やりぃ」 ユキはフクロウから歌を教えてもらうことになった。 「じゃが今日はもう遅いからかえるんじゃ。明日学校が終わってから歌う方法を伝授するとしよう」 「は~い」 ユキは両手の拳を握ってガッツポーズする。 「お母さんをびっくりさせてやるんだ」
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