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森から学校へと抜ける峠にさしかかった。峠の頂上には大きな杉が聳えている。 さっきまで楽しそうに歌っていたユキだったが、今はとぼとぼ杖を引き摺っている。 足取りに元気がない。ユキは一本杉を通過しようとした。 とその瞬間一 「おぅ牧場はみどりぃ~♪」 突如、歌が聞こえてきた。 キョロキョロ辺りを見渡す。しかし誰もいない。 ~♪ 歌はすぐ傍から聞こえてくる。 「おぅ牧場はみどりぃ~♪」 ユキと違ってかなりうまい。歌詞もあってる。 すごくいい声だ。 耳をすませばすますほど心に染みる。聞けば聞くほどしゅわしゅわわ。 なんだろうこれ。 「ここだよ」 木の上から声がした。
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