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「アリア様、ワインをお持ちしました」
部屋に正装をした背の高い青年が入る。
彼の名はレイ。
銀色のストレートな髪に、私よりも少し黒に近い紅の瞳。
トレーを持ち、静かに歩み寄る。
ドアは開けてあったのでノックはしない。
どうせこの城には私と彼の二人きりだ。
街の人も気味悪がって、滅多なことでは近付かない。
「ありがとう」
ほんの僅かに微笑んで、トレーに乗せられたグラスを受け取る。
血のように真っ赤なワイン。
これは茶番だ。
私の日常はつまらない物語。
だけど美しい。
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