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その瞬間、石ころが男の振りかざした手に見事に当たる。
「うぉっ!!」
堪らずナイフを落とした男は、慌てて辺りを見廻す。気配を探るが、さっぱり分からない。
「くそっ!誰だ!隠れてねえで出てきやがれ!」
すると、すぐ目の前の暗がりから長身の鍛えこまれた体がゆっくりと姿をあらわした。
長く伸ばした白髪が目立つ老人だ
「その辺りにしておけ…。お前もハンターならば、無闇に命を奪う事がどういう事になるのか分からん訳でもあるまい。」
低く厳かな物言いが、ナイフを拾おうと焦る男に突き刺さった。
「ゲェッ!!」
太った男が、暗がりから姿を現した男の顔を見るなり、明らかに狼狽した。
(よりによって、一番会いたくない奴に出くわすとは…。)
戦っても勝ち目が無い事は分かっていた。
(ここは逃げなければ…、俺の計画が…。この借りは必ず返してやる。いい気でいられるのも今のうちだぞ)
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