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日もすっかり沈み、冴え冴えとした夜空に星が瞬き始めた頃…
村を囲む柵の隙間からキョロキョロと村の様子を伺う者がいた。
小さな子供のようであったが、人間ではない。私たちの世界でいうネコが二本足で立っている!!
黒い毛並みに大きな青い瞳が特徴的なメラルーという獣人族であった。
もっともこの世界では珍しい存在ではなく、旅人やハンターの持ち物を盗んでしまうということでも有名であった。
メラルーはしばらく大きな青い瞳をキョロキョロと忙しなく動かしていたが、やがて意を決したように大きく深呼吸をし、スルっと柵の間に体を滑り込ませた。
村の中に入るや否やガバッと身を伏せ、四つんばいになり、そのまま四本足で音も立てず一直線に駆け出す。
瞬く間に民家の側を走りぬけ、前方の林へと突っ込んでいく。
やがて、林の中にある一軒の小さな丸太小屋を見つけると、ひたと止まり小さなため息を一つ漏らした。
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