たぁ君

2/26
20人が本棚に入れています
本棚に追加
/172ページ
小さな手足をもぞもぞと動かして、たぁ君が目を覚ましました。   白いカーテンの向こうから、秋の暖かい日差しが差し込み、たぁ君の目をふさごうとします。   眩しさに負けず、たぁ君はよいしょと起き上がり、隣で一緒に眠っているママを見つけました。   疲れているのか、ぐっすりと眠ったママは、たぁ君がぺちぺち叩いても起きません。   ママがいないとつまらないたぁ君は、何度も何度もママの背中を叩き揺さぶりますが、ぐっすり眠っているママは起きる気配もなし。   まだきちんと会話も出来ず、一人で外にも行けないたぁ君は退屈で、起きないママからゆらゆら揺れるカーテンに遊び相手を替えました。   白いレースのカーテンは昨日洗濯したばかりで、とてもいい匂いがします。   ふわりふわりと動くカーテンに手を伸ばしますが、お昼寝していた布団からは少し遠くて届きません。   「あーてん、あーてん」   たぁ君は何度もカーテンを呼びますが、もちろんカーテンが自分から近寄る事などありません。
/172ページ

最初のコメントを投稿しよう!