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隙を見せた俺に一気に距離を詰め、ナイフを突き立てようとする少女。
「死んじゃえーっ!」
しかし彼女のナイフが俺を突き立てるより早く
――バキィッ!
「きゃ…ぅ…!」
俺の左拳が彼女の顎をとらえていた。
彼女は確かに強く、戦いのセオリーもわかっていた。
しかし、駆け引きというものをまるで知らなかったのだ。
「う…ぁ…」
尻餅をついてしまったまま、頭をふらつかせる少女。
どうやら立ち上がれないようだ。
当然だった。
俺の一撃は彼女のように隙を作らせるものではなく、正真正銘ダメージを与える一撃だったのだから。
「ふん……」
「ひぅ!」
パシッと。
フラフラの彼女の手からナイフを奪い取り、そのまま彼女の喉元に突きつける。
危なかったが、これで俺の勝ちだ。
「えぐ…」
「ん?」
「うぅうぅぅぅうぅ……」
「…おい。」
「うわああああああん!」
「……」
…まさか泣かれるとは思わなかった。
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