第Ⅳ章 塗りつぶされる魂

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隙を見せた俺に一気に距離を詰め、ナイフを突き立てようとする少女。 「死んじゃえーっ!」 しかし彼女のナイフが俺を突き立てるより早く ――バキィッ! 「きゃ…ぅ…!」 俺の左拳が彼女の顎をとらえていた。 彼女は確かに強く、戦いのセオリーもわかっていた。 しかし、駆け引きというものをまるで知らなかったのだ。 「う…ぁ…」 尻餅をついてしまったまま、頭をふらつかせる少女。 どうやら立ち上がれないようだ。 当然だった。 俺の一撃は彼女のように隙を作らせるものではなく、正真正銘ダメージを与える一撃だったのだから。 「ふん……」 「ひぅ!」 パシッと。 フラフラの彼女の手からナイフを奪い取り、そのまま彼女の喉元に突きつける。 危なかったが、これで俺の勝ちだ。 「えぐ…」 「ん?」 「うぅうぅぅぅうぅ……」 「…おい。」 「うわああああああん!」 「……」 …まさか泣かれるとは思わなかった。
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