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「……ふう」
ベッドに横たわり、ため息をつく。
もうここ1ヶ月ほど暇な日々が続いている。
ため息の一つも出るというものだ。
「……レン」
しかしそれ以上に俺の心を蝕むのは、一ヶ月前に俺の前から姿を消したあの少女だった。
「……」
なにを思ったか俺はポケットから携帯を取り出すと、いつものようにリダイヤルを押した。
「24です」
「お前か。どうした?任務は与えられていないというの。」
「いえ…。何もしていないと暇で仕方ないですね」
「暇か…。大方前回の任務で死んだあいつが頭をよぎって仕方ない、と言ったところか?」
「…!」
「忘れろ、24。お前は常に死と隣り合わせで生きているんだ。昔からそう教えているだろう」
「…忘れません。俺は忘れたいとは思いません」
「…24。お前が何故今まで生きてこられたか忘れたか?私に従っていたからだろう」
「感謝しています。しかし、これは譲れません」
「怪物になれ、24。人の幻影にすがってはすぐに命を落としてしまう」
「…怪物になるよりはマシです」
「…まあいいだろう。お前もいずれ気づく。どちらが正しいか、は。切るぞ」
通信の切れた電話を両手で握りしめ、呟く。
「…俺は間違ってない」
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