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夜。
組織から与えられた車に乗ること数分。
「…ここだな」
俺はまるでお屋敷のような家の近くまで来ていた。
「ま、屋敷はカレンで慣れてるんだがな」
車を降りながら呟く。
この屋敷の門までの道は一直線。
その道の左右には木々が連なっていた。
「…これでよし」
俺はそのうちの一つに近づくとポケットから小型の隠しカメラを取り出し、それに取り付けた。
「…さて、一応屋敷周りを見ておくか。」
他にも出口とかあったら困るからな。
俺はその足で屋敷に近づいていった。
――その時だった。
「!」
――ヒュン!
強烈な殺気に思わず後ろに下がる。
その俺の前を一本のナイフが掠めていった。
「…この距離に近づかれるまで気配がなかったなんて。」
強い。間違いなくあいては相当な手練れだ。
俺は銃を出そうとも思ったが、この距離でこれほどの使い手相手だと自殺行為だ。
俺はナイフを取り出し、こちらに殺気を放っている相手に目を向けた。
「…な」
そこに立っていたのは――
「あは!よくかわしたね、お兄ちゃん」
まだ年端もいかない少女だった。
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