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「…こんなガキが?」
恐らくまだ十代前半だろう。
顔にはまだ幼さが残っているし、なによりその瞳にあったのは殺意ではなく無邪気さだった。
「久しぶりだな、誰かと遊ぶの!」
陽気な声で言いながら攻撃を仕掛けてくる少女。
「くッ!」
その容姿とは対照的に彼女の戦い方はスマートだった。
ナイフと手足を上手く使い、相手に隙を作らせるように攻めてくる。
その戦い方はまるで――
「…レンと戦ってるみたいだ。」
――キィン!
少女と俺のナイフが交差する。
加えて、ドスンと鈍い衝撃が身体の節々を幾度も襲う。
「ちっ!」
見た目は小さいのに、なんて重い打撃なのか。
少女は俺の僅かな隙をねらって打撃を加えてくる。
ダメージが狙いではない。一撃必殺のための大きな隙を作らせる攻撃だ。
「あはは!すごい、すごい!こんなすごいの初めて!」
無邪気に笑いながらも攻撃の激しさは更に増してゆく。
「やばい…!」
身体が僅かに揺らぐ。
「はいっ!ゲームオーバー!」
その隙を見逃さず、少女は嬉しそうに叫んだ。
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