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「うぅ…ひぐ…。」
「落ち着いたか?」
ようやく泣き止みかけた少女の隣に腰掛ける。
「…うん。」
「さて、なんでこんな事してたのか話してくれるな?」
屋敷に近づく人はみんな殺すように言われている、彼女はそう答えた。
小さい頃からこの屋敷に引き取られ、住む場所と食事を与えられる代わりに、ひたすら殺しの技術だけを学ばされたという。
「ちゃんと殺せばご飯いっぱいもらえるの。だから殺すの。」
「…殺す相手の気持ちを考えたことはなかったか?」
「どうして?殺せって言われてるもの。ちゃんとやらなきゃご飯もお布団だってもらえないんだよ。」
彼女は行くところがこの屋敷以外にない。
だから屋敷の主が殺せ、と言えば彼女にとってそれが全てなのだろう。
「…お前さ、さっき泣いてただろ?」
「うん。だってすっごく怖かったもの。」
「お前に殺された奴も、みんなお前と同じように怖がってたんだぞ?」
彼女は一瞬ハッとした表情になったが、すぐにふてくされた顔をしてこう言った。
「だってそうしないと…私、ご飯貰えないもん…。」
「…じゃあ俺んとこに来い。寝る場所も飯もタダでくれてやる。」
「…ほ、ほんと!?」
…こんな子をほっとけるわけないじゃないか。
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