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お母さんはハンカチで顔を扇いで、時おり思い出したようにぐるりと私の顔を拭いだ。
青い縁取りの、朝顔の刺繍があるガーゼのハンカチだった。
「あなたが今、何考えてるか解るわよ。」
と、ふいにお母さんが言った。
「当ててみせようか?」
そうしてお母さんは私の顔を覗きこんで、
「早くお家に帰って、そのオモチャで遊びたいなって、そう思ってるでしょ?」
ドキンとした。見事に当たっていたのだ。
もしかしたらこの女には一生かなわないのかも知れない、と私は漠然と思った。
待合室の向こうで陽射しは強烈で、ホームも看板も何もかもが白っぽかった。
星型の穴には星の形の破片を、ハートにはハートを、×には×をあてはめて箱の内側に落とすそのオモチャは、しかし思っていたほど面白いものではなかった。
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