手紙

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ミサはこちらを振り向くと驚きのあまり固まった。「今何してるの?」固まっていた僕から話し始めた。ミサはうわずった声で「元気にしてるよ!ヒロは?」懐かしい声で呼ばれる名前は僕に時を忘れさせてくれた。僕はわざと大きな声で「元気!元気!」そして二人の間の空気が凍る。このまま話し続ければよかったものの、何を話していいかわからず。「じゃあ……また」と流しながら僕は歩いていた道を再び歩きだした。それは春から夏へ変わる青々しい草が流れる季節だった。 僕は部屋の整理をしながらミサの事だけ考えていた。すると……黒い箱がまた動き出した。僕はすごく気になった。そこから出てくる‘わすれもの’次にどんなものが出てくるのか、箱が開く。 一枚の写真。 ミサが男の子と写っている。写真からして幼稚園の入園式だろう。僕は目に熱いものを感じながらその写真を握りしめ、部屋を出た。でたらめに走り、涙を堪え、今まで来た長い道のりをひたすら走った。長い長い人生[みち]を……。
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