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「それよりね、あたし一姫に相談があるの。」
香織が急にかしこまる。
「あたしね…隣のクラスの増田君が好きなの。」
私の頭が真っ白になる。
「へ??」
「だからね、増田君が好きなの。」
香織のことは中学のときからよく知っている。
でも一回もそんな話を聞いたことがなかった。
香織は昔から男の子が苦手だった。
よくいじめられている香織を一姫は体を張って守ったものだった。
だからこそ、一姫は香織の恋が不思議でならなかった。
「いっいつから??」
「高校入ってすぐ💓。」
もう一年経ってんじゃん😱
「なんか、彼とっても紳士だし、かっこいいし、運動神経よくて、頭もいいし、優しいの。あたし彼のことがずーっと好きだったの。一姫、男が嫌いだからなかなか言えなくて…。」
私は呆然としていた。
こんな乙女な顔をして嬉しそうに話をする香織を見たことがない。
確かに私は男が大嫌いだ。
女の敵だと思っている。
男は女を手玉に取って笑いながら掌でころころと転がすことが得意だ。
どんな真剣な目で愛を囁いたところで、それが本物かどうかは誰にもわからない。
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