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「父親として正直に言えば、お前にはサッカーよりも勉強をして欲しかった。だが、サッカーをやめた途端、お前はすぐに荒れたな。荒れて、自暴自棄になって……将来を投げ出していたお前を見るのは耐えられなかった……私が間違っていたんだと、思い知ったよ」
「……先輩。サッカーと勉強、両立しなきゃダメですよ?」
「……それは優等生の考え方だ。サギ達と一緒にすんじゃねぇ……」
生意気言う比奈の額を小突いてやれば、親父が温かい目をして微笑む……
やめときゃ良かった……親のいる前で比奈のペースに乗せられると、家族が知る俺じゃいられなくなるんだよ……
「サッカーを続けるんだな」
「……あぁ……」
「プロに目指すのか」
「……悪いかよ」
「そうか……ただな、今度はどんなことがあっても続けるんだ。サッカーをしている時のお前が、1番お前らしい。大学に進むよりも難しい道だが……頑張れよ」
「……親父……」
……反対、しないのかよ。
……大学に行けとは、言わないんだな。
比奈が安心したようにニコニコ笑う。マジうぜぇよ……人が今、どんな気持ちなのか知ったような顔して……
「……ウルセェーよ。んなもん承知で、こっちはガキの頃からプロ目指してんだよ」
「そうだな」
「……そうですね」
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