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けど、今日は酔えない。来年のクリスマスはコイツと過ごせるとは限らねぇんだ。
今のうちに思い出作って、サイコーのカタチで見送ってやらねぇと。
――バシッ
「っ!?」
「留学したら気をつけろよ。自分の身は自分で守れ。なんだったら、オニに護身術でも教えてもらえよ」
「……はい……」
――バシッ
「えっ!?」
「野郎に隙は見せんな。常に警戒心を持って歩け。自分の身は、自分で守らねぇと」
「……今、聞きましたってば」
――パシッ
「……」
「くふふ、よく止めたなぁ」
「……絶対に来るって分かりましたから。それより、先輩……酔ってます?」
果実酒なんかで酔うか、バーカ。ただ、尋常じゃないほど眠いだけだ。
「悪い……少し、寝る。クリームが焼けたら起こせ」
「……一生、起こすことはないと思いますけど…………おやすみなさい」
俺は知ってる。
次に目を覚ました時は、ピー子の「おはようございます」の言葉を聞く。その時、いつになったら敬語を止めるのかを聞くか。1度も「秀弥」って呼ばれないまま、巣立たせてたまるかよ……
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