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……頭をガシガシ掻きながら、眠る前の記憶を懸命に手繰り寄せているみたいだけど、眉間にうんとシワを寄せて、私が部屋に入室してることを快く思っていない感じ……
「……他にどこも開けてねぇだろうな」
「……開けてませんよ」
……寝起きで機嫌が悪いのかも知れない。その上、勝手に冷蔵庫を開けたのは悪いと思ってるけど……
……でも、せっかくのクリスマスなのに、この不穏な空気はイヤだな……
「……はぁ……で? ケーキは?」
「……とっくに出来てますよ。先輩の分は下の冷蔵庫の中に入ってます」
「……ふ~ん……じゃぁ、後でもらう……」
「……」
……いっぱい寝たから、まだ眠気を引きずってるのかも知れない。でも……でもさ……せっかくのクリスマスなんだから、私はもっと話したいよ。1月になったら日本を発つのに……先輩のペースはいつもと変わらない……
……私がいなくなっても平気なのかな……時間を大切にしたいとは、思わないのかな……
「……先輩……」
「……あー……のど渇いた。お前も何か飲む?」
「……大丈夫です」
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