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「……5年、か……」
……お花屋のショーウィンドウに私自身が映る……
……小5の時、命を絶とうとして洋平に命を救われた。あの時は私が恋愛するなんて思ってもみなかったし、親元を離れてピアノを本格的に習うことになるなんて想像も出来なかった……
……絶望を見ていた私に、希望を与えてくれた幼馴染みと、ホントに離れるんだな――……
「いらっしゃい。どんな花をお求めですか?」
「……え……」
……いけない、ガン見しすぎた……優しげな女の店員さんがクリスマスリースを持って現れる……店頭にはラッピングされたポインセチアの鉢。緑と赤がいかにもクリスマスカラーだ……
「……あ、あの……まだ少し先なんですけど、花束を予約したいんです……それで……その……空港まで届けてもらうことって出来ますか?」
「空港、ですか?」
「……ずっと言えなかった感謝の気持ちを伝えたい人がいるんです……その……相手は男の人で……できれば、男の人の趣味に合う花束を作ってもらいたいんですけど……」
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