Christmas

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……フタの裏面は鏡だった。中に入っていたのは、指輪だった。指輪を収納する箇所はいくつもあったけど……1番上の左端に、真珠の指輪が光ってた…… 「……これから毎年クリスマスには指輪を1つ送る……お前はそれをそのボックスの中にしまっとけ……」 「……先輩……」 「……今年は金がなくて箱と一緒に指輪まで買えなかったんだ……だから、その……最初の指輪はおふくろの形見で勘弁してくれ……きっとサイズも……合わないだろうけどさ……」 「……」 ……先輩が指輪をとって、左手の薬指にはめてくれる…… ……少し大きくて隙間が出来たけど……でも……先輩の気持ちがすごく嬉しかった…… ……どんな顔をして女の子用のプレゼントを買ってくれたのかな……今みたいに顔を真っ赤にして……ばつが悪そうに包装してもらったのかな…… 「……いいんですか? 大切な指輪じゃないんですか?」 「……大事。けど、お前のこともすっげぇ大事で……だからこそ、お前に持っててもらいたいんだよ。比奈がおふくろの指輪を持っていてくれる限り、俺等は別れないって……そう思えるからさ」
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