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今日、幼馴染みが1人いなくなる……
離れて暮らすだけで、いなくなるわけじゃないことは分かっているけど……
比奈は幼馴染みの中でも特別だった。唯一の女の子。ありえないくらい体力がなくて、小さい頃から人一倍我慢することが多かった。
それを見てきた。誰よりも近くで。放っておいたら死ぬと思った。助けを出さずにはいられなかった。命の大切さを教わった。サッカーの楽しさを教えてくれた。ヒヤヒヤさせられることも多かったけど、比奈が俺に絶対の信頼をしてくれたから、その信頼を裏切れないと、俺はいつでも強くいられた。
いつも一緒にいたな。
言わなくても、通じるものがあったよな。
2人だけの秘密も共用すれば、2人だけの思い出も多い。
そんな思い出も……これから少なくなっていくんだな……
「……洋平」
「ん? わ、凄い花だな。飛行機の中で枯れたりしないか?」
「……(プルプル)……洋平に」
「俺に?」
光高生の輪から離れて駆け寄ってきた比奈の腕には、抱えきれないほどの花束が抱かれていた。
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