2673人が本棚に入れています
本棚に追加
清楚な白い花と、活発的な黄色い花。甘い香りが鼻まで届く。
比奈に差し出された花束を、俺はワケも分からず受け取った。
「どうして……? 普通、俺から比奈に渡すべきだろ?」
「……うぅん、洋平に渡すの。好きな人や、大切な人は大勢いるけど、洋平がいなかったら、私はその人達と出会うことも出来なかった……」
「……」
比奈が笑う。穏やかに。
「……いつも助けてくれて、ありがとう。どんな時も洋平が味方でいてくれたから、凄く心強かった……洋平が誉めてくれたから、私はピアノを続けてこられたんだ……」
「うん……これからも味方だよ。俺が比奈のファン1号だってこと、向こうに行っても忘れるな?」
「……うんっ」
比奈は特別。
愛とか、友情とか超越して、かけがえのない、俺の信友――……
自慢の幼馴染みなんだ。
「細かい注意はもう言わない。俺はお前を信じてるから……いってらっしゃい、比奈」
「……いってきます、洋平。春人たちをよろしくね」
最初のコメントを投稿しよう!