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搭乗手続を済ませてるため、エスカレーターを下りていく2人の若き音楽家の背中に、俺たちはいつまでも手を振り続けた。
最後に見たのは涙じゃなくて、満面の笑顔。たぶん、一生忘れない。キラキラ輝いて、今まで見た中でもサイコーにいい笑顔だったんだ。
花の匂い
お日様の匂い
爽やかに甘い香りは、比奈の匂い
「行っちまったな……」
「……行っちまったなぁ」
「なんだよ、お前ら。行かせた事、早くも後悔してんのか?」
「「……若干」」
「ったく……」
白と青の機体が冬の空にはばたいた。
空港の屋上から見届けた飛行機。雲の向こう側に消えてようやく、フェンスから離れることができた。
「……さて、と。これからどうする?」
「強豪校の選手が揃ってるし、今からドリームチームを編成してサッカーでもするか!」
「お、いいじゃん」
「俺たちもあの2人に負けてられないもんな」
「「決定!!」」
旅立った幼馴染みが残してくれたもの。
それは、かけがえのない仲間と、将来につながる大きな夢――……
俺たちも夢を諦めない。
将来に立ち向かう強さは、小さな仲間に教わったから、この先も戦い続けるんだ――……
Fin
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