自由

6/12
前へ
/12ページ
次へ
どの宿屋を何軒回ろうが結果は同じだ。 バルジャンは何もかもがどうでもよくなり、町外れのどこかで野宿をしようと決心した。 しかし、空にはいつの間にか黒い雲が広がり、今にも雨が降り出しそうであった。 バルジャンは仕方なく町へ引き返し、大きな教会の前の広場にたどり着いた。 その広場に置かれている石のベンチに寝ころぶ。 毎晩は無理だが、今夜一晩を明かすことは無理ではないだろうと推測したのだ。 アルプスから吹きおろす風は冷たかったが、バルジャンはもう空腹も疲労も感じなかった。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

29人が本棚に入れています
本棚に追加